身体が冷えると血流が滞り、アレルギーだけでなく、様々な病気や異常の原因となります。
では、冷えとはどういう状態をいうのか?また、身体はなぜ冷えるのか?
今回は、冷えのメカニズムや原因を明らかにしていきます。
冷え性のメカニズムと原因
私たちは、外気に関係なく体温を一定に保つことのできる恒温動物です。もし、一定の体温を保てなければ、生命を維持することは出来ません。
身体が冷えてしまうということは、生命に関わるほど危険なことです。
冷えは、女性特有のものだと思われがちです。
実際に、女性は一般的に男性より筋肉の割合が少ない為、冷えやすく血液の循環が悪くなったり、貧血になりやすい身体です。
ところが現代人がかかりやすい冷えは、性別には関係なく、環境やライフスタイルによって作られるものとも言えます。
この場合は本人が自分の身体が冷えていることを自覚していないケースもあります。
冷えは、寒い季節だけの症状ではありません。冷えというのは、「寒い」という感覚とは異なります。
夏や冬といった気温の高低に関わらず、冷えの状態は起こります。
寒さ → 身体の外側=大気の冷たさ
身体の冷え → 身体の内側
体内をめぐる血液は、酸素や栄養分を各部位に運び、また各部位で発生した老廃物を回収します。
身体の各部位ではそれぞれ、酸素や栄養分をもとにして合成や分解を行い、そのとき熱も生産します。
ここで何らかの異常で血液がうまく循環しないと、各部位で活動が滞り、結果熱も作れなくなります。
これが冷えという状態です。
なぜ冷えが身体に良くないのか?
冷えが身体に良くない最大の理由は、冷えによって免疫や代謝などに関わる重要な酵素が出来なくなることです。
また既にできている酵素も反応が鈍くなり満足に働きません。
例えば《遺伝子修復酵素》は、体内にできるガン細胞をつくるような異常な遺伝子を修復するというとても重要な役割を果たしています。
たとえ健康な人でも、身体が冷えた状態が続くと遺伝子が傷ついて、ガン細胞に変質するかもしれないものを、毎日生み出してしまうことになるのです。
体温調節のしくみ
体温の調節は、自律神経の働きによるものです。
暑い場所では体温を逃がし、寒い場所では体温を守ろうとします。
自律神経は『交感神経』と『副交感神経』で構成されていて、この神経中枢が絶妙なバランスを保ち、代謝が最も活発に行われる38度に体内の温度を調節しています。
ポイント
『交感神経』
寒い時に優位になる。毛細血管を収縮させ、中心部の熱が奪われないように、一時的に身体の表面を冷たくする。
緊張時やストレスがある時も同じ状態になる。
『副交感神経』
暖かい時に優位になる。毛細血管が開き、熱が体内にこもらないように放出させる為、手足の先まで温まる。
リラックスしている時や睡眠時も同じ状態になる。
この2つの神経のバランスが崩れると、身体に異常をきたします。
身体が冷え血流が滞り、数々の病気や異常の原因となります。
アレルギーが起きる仕組み
私たちの身体には、外部から入ってきた異物(ウィルスや細菌など)を排除しようとする働きがあります。
一度体内に入った異物に対しては、それと闘う「抗体」が作られ、次に同じものが侵入してきた時、それを体の外へ追い出します。
このしくみを「免疫」といいます。
免疫機能が正常に働くことで、私たちは病気を予防したり、病気になっても回復することができるのです。
ですが、本来は無害な物質にまで免疫が過剰に働き、不快な症状を引き起こすことがあります。
このような体の反応を「アレルギー」、アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」といいます。
アレルゲンは私たちの身の周りにたくさんあります。
例えば、花粉、ダニやホコリ、カビ、食品(牛乳や卵など)、金属、ペットなど。
アレルゲンが同じでも、別の原因が加わっていることも多く、現れる症状は人によって様々です。
体の冷えとアレルギーの関係は?
アレルギーは、腸の働きや腸内環境が大きく関係していると言われていますが、体が冷えていることもアレルギーを起こす原因のひとつだと考えられています。
冷たい飲みものや、食べものを摂ることで胃腸が冷やされるので、入ってきたものを十分に消化できなくなり、栄養分も吸収しにくくなります。
そして、腸で行われるはずの解毒作用までうまく働かなくなってしまいます。
つまり、分解や解毒が十分に行われないまま、たんぱく質が肝臓に運ばれ、それを異物とみなし、抗体反応が起きてしまい、様々な症状となって出てくるようです。
アレルギーを起こしやすい人や、免疫と関連している病気のある人は、身体の冷えには十分に気を付けてください。
主な冷えの原因は?
自律神経の乱れ
冷暖房完備の生活で、温度差が激しいところを出入りする生活を続けていると、気温の変化を感じる神経が鈍くなってしまいます。
もともと、自律神経が調節できる温度差は7度未満。
四季の自然な温度変化や、衣服の着脱で対応できる範囲内でしか調節できません。
冷暖房が充実したことで、現代人は夏も冬も7度以上の温度差にさらされて、自律神経が正しく機能しなくなってしまいます。
洋服の選び方
薄着でいたり、露出が多いと交感神経が優位になりっぱなしで、手足が冷えてしまいます。
無理な締めつけも血の巡りの妨げになります。
冷たい飲み物、冷たい食べ物の摂り過ぎ
年間を通じて冷たい飲み物や食べ物を多くとると、内臓内の温度調節 機能も鈍くなってしまいます。
冷たい液体が一気に口の中に入ってくると、それだけで口の中の粘膜の温度が下がり、交感神経が緊張する為、食道や胃などの消化管の血流も少なくなってしまいます。
強いストレスの影響
強いストレスがかかると交感神経だけが優位になってしまい、アドレナリンやノルアドレナリンという緊張型のホルモンが過剰に分泌されます。
ストレスに立ち向かおうと身構え、全身の血管がぎゅっと収縮するので、血液の循環が悪くなり、体温も低下します。
基礎代謝が悪い
筋肉量が少ないと、基礎代謝が落ち、効率よく熱を生み出すことができません。
基礎代謝とは呼吸したり、内臓を動かしたりといった生命維持のためのエネルギーのことです。
筋肉は、それ自体の血流が豊富な組織なので、脂肪を燃やして熱をつくりだし、身体を温めることが可能です。
逆に筋肉がたくさんついて、脂肪が少なすぎると、体内で生み出された熱が維持できずに身体が冷えてしまいます。
貧血や低血圧
貧血(血液の量が少ない)や低血圧(血液を全身に流れさせる力が弱い)の場合、温かい血液が末梢部分の毛細血管まで十分に行き届かないので、体温も低下します。
ステロイドなどのお薬
アレルギー疾患などに処方されるステロイドの内服薬は、抗炎症作用が強いので、最も体を冷やしやすい薬のひとつです。
冷え性のさんは、今すぐ冷え取り対策を!!
アレルギーや身体の不調、そしてなんと心の病まで、「冷え」が原因ともいわれてるそうです。
身体が冷えている人は、今すぐ対策をしたほうがいいですね。
-
冷え取り対策!慢性的な冷え性さんにおすすめの方法
前回の記事では、冷えのメカニズムや原因、体温調節の仕組み、何故冷えが身体に良くないのかについて紹介しました。 また、冷えとアレルギーの関係では、身体の冷えで腸の働きや腸内環境に影響がでることをお伝えし ...